11月18日公開講座
「歯と糖尿病」 関東信越厚生局 保険指導医(歯科医師) 羽賀俊明 先生
公開講座 第5回 サマリー
歯と糖尿病
歯は口腔粘膜由来のエナメル質と骨由来の象牙質が一緒になったもの
人体で最も硬い・・・エナメル質が骨よりも硬い
口腔は消化管の入り口で不潔な場所。歯はここに露出している
咀嚼に用いられ、生存競争、威嚇の手段として、
社会性のある動物ではコミュニケーションツールとして
発声にも関与している
歯の骨由来の部分に骨粗鬆症の薬が歯に作用することもあります。
歯科は顔の下半分を担当することで耳鼻科と被るが、耳鼻科は歯を削ったりはできない。
歯と口腔について
口腔は高温多湿で栄養豊富なため、不潔になりやすい。
※医学用語では、どこかに触れると不潔と言う(触れたか触れないかで判断)
一度欠けた歯は再生しない
※治療歴が災害被害者などの個人の識別になる
歯の疾患と糖尿病について
主な歯の疾患 う蝕(むし歯)と歯周病
唾液には口腔の活動を円滑にする働きがあるが、糖尿病で唾液の分泌が低下すると、
舌、頬、口唇の連携した自浄作用が低下、う触も歯周病も悪化しやすくなる
歯と歯の間、歯と歯肉の間は自浄作用が働きにくいので、手入れが大事になる。
歯のトラブルがきっかけで菌が体内に広がることがあります。
弁膜症など、歯を治療した後などに起こることがあります。
歯周病の病巣から出す毒素や炎症性の物質が体内に放出され、歯以外の病気になります。
歯周病について
歯周病の原因菌は嫌気性(空気を嫌う)菌なので、酸素の乏しい環境を除去する必要がある。
歯茎のポケットに嫌気的な環境ができて歯周病菌が繁殖しやすくなる。(酸素が供給されないため)
対策として、歯垢と歯石の除去が必要。
歯の手入れについて
歯垢の除去はスクラビング法(細かい横磨き)が勧められる。
歯と歯の間、溝、歯と歯茎の間にブラシが届くことが重要。
ブラシを大きく動かすと歯の間が磨けない。
ブラシのしなりを保つため、見た目が変わっていなくても月に1回は交換したほうが良い。
歯ブラシは、奥にも届くため、小さめのブラシがお勧め。
歯石は自分ではきれいにとることができないため、定期的に歯科で取ってもらうのがよい。
むし歯のなり易さは、個人差があるが、
なりにくいからと歯磨きなど歯のケアを怠ると歯周病になり、思わぬ体の病の原因にもなる。
歯は健康に大きな影響がある。歯を健康にすることが、体の健康にもつながる事を認識してほしいです。