内分泌のお話し 第28回
カルシウム(Ca)のこと
骨粗鬆症って聞くとすぐにカルシウム(Ca)が足りないって感じませんか。
カルシウムを取ればいい、そうだ乳製品をたくさん、いや小魚をたくさん食べよう。
サプリも飲んじゃえとなります。
さらには飲み薬だ、ビタミンDだ、注射だとなっていきます。
バイフォスフォネートの薬、週一回空腹時沢山の水で起き上がって姿勢を正して飲む薬もあります。
女性ホルモンの製剤もあります。
副甲状腺ホルモンのアナログの連続自己注射もあります。
間違っているとはいいません。
骨のカルシウムの維持は大事なことです。
ただ、内分泌屋にしてみると、Caは骨につくことも大事ですが、
血中濃度濃度が保たれていることも大事だと考えます。
Caは心臓を含む筋肉の収縮に関係して不整脈の原因にもなるし、
濃度によっては脳の機能にも影響をあたえます。
では、何が言いたいかというと、まず食べすぎても骨にはCaはつかない。
ちゃんとCa測定の経過もみていない薬の使い方は良くないと言いたいだけです。
さらに、意外と副甲状腺機能亢進症の方がいることを忘れてはいけません。
Caが高くてリン(P)が低くなるのが血中濃度ですが、
このCaが高いのは骨から取ってきたCaなので骨は弱くなります。
Caが高いのが骨にCaが入っているわけではないのです。
長くなりました。
繰り返しますが、多くはCaとPと副甲状腺ホルモンの測定で病態がわかってきます。
Caは難しいと思います。
筆 者
八木医院 内分泌・代謝専門医
薬師寺 史厚
2022/11/21