内分泌のお話し 第16回
甲状腺ホルモンの補充の話です
ホルモン補充の話は、本来副腎皮質ホルモンの話を先にすべきなのですが、
ここは患者さんの副腎機能が正常であることを前提で始めます。
なぜなら、前に書きましたが、副腎皮質ホルモンのコルチゾールはいわば命の綱で、
生命維持に影響するストレスに対してその最大防御であり、
これが不足している場合は全ての治療に優先すると言っても過言では無く、
むしろ甲状腺ホルモンの補充に優先されからです。
さてと、甲状腺ホルモンの補充の本題にもどりますが、簡単に言えば無いから足すだけです。
視床下部ー下垂体ー甲状腺系の系については前にお話ししましたが、
どこに障害があっても通常は甲状腺ホルモンは低下します。
その時どうするか?
答えは簡単、体の実際の作用が出てくるのは、甲状腺ホルモンホルモンなので、
甲状腺ホルモンを足す。
レボサイロキシン甲状腺ホルモンのサイロキシンT4とほぼ同じ
(吸収のためほんの少し違うが血中に入ってしまえば同じ)を通常は飲んでもらうことになります。
薬の名前ならチラーヂンSとなります。
なぜ、Sかって?昔動物の甲状腺の粉末のチラーヂンを使っていた時代があって、
それよりはストロングというか安定している甲状腺ホルモン
もちろん人型の甲状腺ホルモンなので、その名前が由来のようです
(昔ある教授先生に聞いたのでほぼほぼ正しいとは思いますがまあ、戯言でもいいですけど)
そして大事なことは、薬を飲んでちゃんと血中濃度を採血でたしかめることです。
内分泌医は吸血鬼の仲間かも。
筆 者
八木医院 内分泌・代謝専門医
薬師寺 史厚
2022/8/29