内分泌・糖尿病専門医 吉原医師のコラム 第二回
糖尿病について その2
*血糖値とHbA1c
糖尿病は、血糖値が高くなる病気です。
糖尿病の診断および治療の指標として、血糖値やHbA1cという言葉を聞いたことがあると思いますが、それは何なのでしょうか。
血糖値とは、血液中のブドウ糖の濃度です。
食事でとった炭水化物が消化されてブドウ糖になり血液中に吸収されます。
体の中で、ブドウ糖はエネルギーとして利用されます。
ブドウ糖は最も利用しやすいエネルギーであり、特に脳はブドウ糖しかエネルギーとして利用することができません。
したがって、体の中では適正なブドウ糖濃度になるように調節がされており、空腹時血糖値は70-109mg/dL、食後は140mg/dL以下が正常な状態です。
血糖値の調節は、膵臓から出るインスリンというホルモンがしていますが、インスリンが出にくくなったり、効きにくくなると、血糖値が上がり糖尿病になってしまいます。
・空腹時血糖値:10時間以上食べたり飲んだりしていない状態で測定した血糖値です。
検査の当日朝食を抜いて、測定します。
・随時血糖値:食事と採血時間との時間関係を問わないで測定します。
・経口ブドウ糖負荷試験(75gOGTT):糖尿病の診断に用いる検査です(明らかに血糖値が高い場合は行う必要はありません)。
75gのブドウ糖が入った検査薬を飲んで、飲む前、30分後、60分後、120分後に血糖値を測定します。
HbA1cとは、血液の中で赤血球中のヘモグロビン(Hb)がブドウ糖と結合したものです。
Hb全体のうちブドウ糖が結合している割合を%で示しています。
赤血球の寿命は約120日といわれており、一度Hbとブドウ糖が結合すると離れることはありません。
従って急激にHbA1cの値が変化することはなく、過去1~2ヶ月の血糖値を反映します。
血糖値が高ければ、割合は上昇し、血糖値が低ければ、割合は低下します。
しかし、1~2ヶ月の血糖値を反映しますので、外来受診の1週間前に急に食事制限や運動療法を行っても、HbA1cは下がりません。
通院されている方、健康診断を受けられた方、検査データをお持ちの方は、ご自身の血糖値、HbA1cを確認してみてください。
筆 者
八木医院
内分泌・代謝専門医、糖尿病専門医
吉原 彩