糖尿病のお話し 第3回
前回はなぜ糖尿病?、高血糖、糖尿、多尿の話をしました。
今回は、では糖尿病はどんな悪さをするかです。いわゆる眼、腎、神経の三大合併症や心筋梗塞や
脳梗塞の大血管障害の話ではありません。
血糖が高い状態は体の具合がわるい
1.人間は普通、昨日の自分と今日の自分の体の調子の違いは判りますが、昔の自分と比べると
年齢のせいなのか、それとも大体昔の状態がわからないか、今状態しかわからないので
普通こう答えます。「かわりありません。」
確かによほど急激に体の調子がわるくなる糖尿病急性合併症
「ケトン血性糖尿病昏睡」「非ケトン血性糖尿病昏睡」「高浸透圧性糖尿病昏睡」
なんて状況になれば、本人は相当具合が悪く意識障害ですからこの状況は変わります。
それにならない前の体のことです。
2.話は戻りますが、糖尿病になって尿に糖がでて、水もでる。脱水になるわけです。
確かにSGLT阻害剤(治療ででてきます)によってたくさんの糖を尿に捨てる場合でも
脱水になりかけますが、高血糖で多尿になれば高血糖と水が失われるほうがすごいので、
血管内はより脱水でさらにさらに高血糖になります。
そうなると血が濃くなって何がおこるか?濃くなった値を薄めるように体は働きます。
すなわち血管内が高浸透圧になるので血管の外から水を血管内に引き込みます。
脳でも脳細胞から水は取られるのです。考えても見てください調子がわるそうですね。
3.さらに血が濃いと血液されさらとかいって薬を飲んでいる方もおられるかもしれませんが
大体血液が固まりやすくなりそうだと想像できますね。
そして、大体血糖が高いのは栄養がうまくつかわれていないのだから、ひどいと痩せます。
4.つまり糖尿病が悪くなると痩せるわけです。意識して痩せるのは糖尿病にはプラスですが、
「病気で痩せちゃった」のは、大変悪い知らせです。
筆 者
八木医院 内分泌・代謝専門医
薬師寺 史厚
2022/5/23