糖尿病のお話し 第6回
前回は糖尿病はいつでも血糖は高い。そして血糖は大きく変化することを書きました。
そうだとすると、医療機関で一回血糖を測っても、上がったり下がったりする糖尿病の血糖を
評価することができません。その評価のために出てきたのがヘモグロビンA1cです。
でてきましたヘモグロビンA1c(HbA1c、糖化ヘモグロビンA1c、又はA1c)です。
「血糖を下げましょう」とおなじで「ヘモグロビンA1c(以下はHbA1cと書きます)を下げましょう」
という医療関係者がいます。
本来は、食べた物をうまく体で使い、結果として血糖を良くして、モニタリングの結果である
HbA1cで確かめましょうが正しいわけです。
ヘモグロビンA1cのことを説明なしで「1か月から2か月前の血糖の平均値」と
なんとなく言われたこともあるでしょう。なぜそうなのでしょうか。
話を続けます。
ある患者様はHbA1c8%の結果を「ヘモグロビン8%」と言ってしまいます。
この辺もわかりにくいところ。
ヘモグロビンは簡単に言えば貧血、赤血球の濃さの話です、なんだかわからなくなってきませんか。
続けます。
ヘモグロビンは酸素を運ぶ赤血球を構成する蛋白です。だから減っていれば貧血がわかります。
では、なんで、HbA1cで血糖のコントロールがモニタリングできるのでしょうか。
赤血球は血液の血漿の中を泳いでいます。その寿命は約3か月。
採血すると生まれてから平均約1か月過ぎの血液が取れます。ここがポイントです。
その赤血球はいつもブドウ糖(血糖)を含んだ血漿の中を泳いでいるため、
当然、赤血球の中のヘモグロビンも泳いでいるわけです。
ヘモグロビンはブドウ糖を含んだ血漿内で泳いでいるうちに時間とともにブドウ糖が結合し、
糖化してしまうヘモグロビンが出てくるわけです。これが「糖化ヘモグロビンA1c」となります。
そこで、ヘモグロビンのうち糖化してしまったものの割合をHbA1c何%と表示することが
できるわけです。
つまり生まれてから1か月過ぎくらいの血液での糖化の具合を見ることができるので、
採血の前1~2か月の血糖が高い時間が多ければ糖化したヘモグロビンつまりHbA1cの比率が高くなる
ということになります。
そんなわけで、時間でかわる血糖、すなわち糖の上がり下がりの結果として血漿内を泳いでいるブドウ糖が
赤血球の中のヘモグロビンにどのくらい付いたかをみているのがHbA1cとなります。
筆 者
八木医院 内分泌・代謝専門医
薬師寺 史厚