当院が 生活習慣病を「生活習慣の病気」と言わない理由
当院が 生活習慣病を「生活習慣の病気」と言わない理由
内分泌・代謝科専門医にとって、「いわゆる生活習慣病」はまさに目的とする病気です。
もちろん、「いわゆる生活習慣病」を診ることは本望なのですが重要なことがあります。
「生活習慣病」って、本当に生活習慣で病気になるのでしょうか?
いわゆる生活習慣病になると、なにやら「生活習慣が悪いからあなたは病気になったんだ」
って言われているとは感じませんか?
たぶん、これが患者さまにとって一番いやな言葉ではないでしょうか?
「あの人は太っているのに糖尿病でもなければ脂質異常症でもない」って思っていませんか?
そうなんです、糖尿病や脂質異常症は病気なので単に生活習慣が悪いからなるのではないのです。
残念なことに患者さまはおそらく、もともとの体のつくり(体質といって良いかもしれません)が
根本にあって、生活習慣が、病気の発症や、病気を悪くすることに加担したと思えます。
確かに悪い生活習慣は、病気の進行に関係があることに間違えはありません。
しかし、普通に糖尿病や脂質異常症などは代謝の病気なのに、
あたかも「すべて生活習慣だけが原因」のようにいわれてしまうのです。
これはずるい「自己責任論」といえます。
代謝・内分泌科専門医としては、病気は病気としてとらえていきたいのです。
その上で増悪の原因である生活習慣は治療の対象です。
いわゆる生活習慣病は「ただの怠け病」ではありません。「普通の病気の一つ」なのです。
しかし治療には生活習慣への介入が必要なのです。ですから生活習慣病とは呼びませんが、
生活習慣には介入を目指します。
一例をとれば、肝臓が悪い人にとってお酒を飲む習慣は、おそらく悪いことです。
同じように、アルコールが生活習慣病に良いとは思えません。
細かい話は外来にて。