糖尿病のお話し 第5回
前回は、血糖の上がる話をしました。では「血糖はいつ上がるのでしょうか」から始めます。
血糖は食べるから上がるのですか?
食事をすれば血糖が上がる。確かにそうですが、糖尿病やその手前の糖代謝異常がある方
の血糖はどこまで上がるのでしょうか。
逆に言えば糖尿病に関係ない人が食べたらどのくらい血糖が上がるのでしょうか?
答えは糖代謝異常がない方は大して上がりません。
さらに血糖の上がるのは食後30分前後にピークが来て、早々に元の血糖に戻ります。
では糖尿病の方は???
血中にたくさんの糖が残っているのです。だから糖尿病。
糖尿病では空腹時の血糖も高いのですが、食事後にどんどん上がって、
さらにピークになる時間は遅くなっていき、多くは2時間たっても血糖が上がっていきます。
食後血糖のピークが遅くなり、実際の血糖のピークが高くなることで2型糖尿病への進行が
見えるように思われます。
その中で、肥満の方で多いとはおもうのですが、食後に上がった血糖が、食べる前の血糖よりも
下がってしまう方がいます。
インスリンの過分泌が原因とは思いますが下がるのが行き過ぎてしまうのです。
ひとによって食後に小腹がすいてケーキをたべたくなるのは、これが原因かも?です。
また、コントロールが不良な血糖の数値は1000にでも2000にでもなります。
確かに数値600でも歩いて医療機関に来られる方もいますが….
前回も書きましたが、診断基準から言えば随時血糖
(随時というのは食事との時間関係なく血糖を測定した時)
や糖負荷試験(ブドウ糖75g相当の甘い炭水化物の分解物を飲んだあと)2時間の血糖が、
200㎎/dLある方はいつも血糖が高いので、糖尿病の可能性があることになります。
戻って、空腹時の血糖はどうでしょうか。
脳はたくさんの糖を消費します。
低血糖という状況、すなわち血液の中の糖がなくなると栄養不足になって脳が命の危険にさらされます。
そこで、食べなくても、血糖は下がりすぎないようにも調整されているわけです。
体は糖新生といった血糖づくりもします。
筆 者
八木医院 内分泌・代謝専門医
薬師寺 史厚